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睡眠

睡眠

人間の一生のうち、約3分の1を占めると言われている「睡眠」は、人間が生きていくうえで欠かせない大切なものです。

 

 日本人の睡眠、世界ダントツ最下位!

「日本人のほとんどが睡眠不足である。」と言われているほど日本は世界的にも睡眠時間が短いことで知られています。特にここ数年、日本人の睡眠時間は年々減少し、睡眠不足で有名な韓国よりも短くなり、ダントツ最下位となってしまいました。また、時間が不足しているだけでなく「日本人の5人に1人が睡眠時に何らかの障害を抱えている」「60歳以上の方では3人に1人が睡眠問題で悩んでいる」と睡眠の内容にも問題があると言われています。なぜこんなにも日本人は人生の約3分の1の時間を有意義に過ごせていないのでしょうか?

 

世界ダントツ最下位!!の原因

考えられる原因はいくつかあると思いますが、主には、24時間営業の店舗、スマートフォン・パソコンの普及により生活の夜型化が進んでいるということが挙げられます。また、海外では、「睡眠クラス」など「睡眠教育」を行っている国も珍しくないのに対し、日本では幼稚園から大学までを見ても、専門学部以外では睡眠教育は行われていません。このように「日本人の睡眠に対する意識の低さ」が原因の一つである。ということも挙げられています。

 

睡眠は何のためにある?

日本人の大半が睡眠不足であることはわかりましたが、そもそも睡眠は、何のためにあるのでしょうか?

  • 脳と体の休養

人間を含む恒温動物は、外部からの情報を処理し、体をよりうまく働かせるために大脳を発達させました。しかし、大脳は多くのエネルギーを消費します。そのため脳と体の機能を維持・管理するために休養が必要不可欠となりました。睡眠で体を休めたり、大脳の活動を低下させ休養し回復させることで、必要な時に脳や体が高い機能状態を保つことができます。

 

起きている間に外部から脳内に吸収した情報は、脳のそれぞれの部位に送ることにより認識されます。睡眠が不足することによって、「前頭連合野動のコントロール、論理的な判断、将来の予測や、計画など高度な判断を行うほか、思考、意欲などの精神活動全般を司る場所)と「頭頂連合野視覚や触覚の感覚の処理。空間、時間の認識・判断。また視覚からの情報をもとに手足や体の運動を司る場所)の機能が低下します。これにより、注意力、集中力が低下し、記憶の定着や意欲の向上、感情のコントロールなど様々な機能に支障が出やすくなります。起きている間に脳を最高の状態で働かせるためにも睡眠はとても大切です。

 

 睡眠と体温の関係

体を休息状態に誘導するには、深部体温を下げることが必要です。深部体温とは、内臓や脳などの体の内部の温度のことを指します。体内の温度が下がると代謝が下がり、体は休息状態に入ります。人間は手先や足先から熱を逃がすことで、体内と脳の温度が下がりはじめ、眠くなることが分かっています。眠い時、赤ちゃんの手足が温かくなるのも、このシステムが働くことによるものと言われています。このことから、冷え性で手足が冷たい人は、熱をうまく逃がすことができず、不眠になりやすいと言われています。

睡眠は睡眠でしか解消できない!睡眠負債

借金はお金でしか返せないように、睡眠不足も睡眠でしか解消できません。

睡眠負債は睡眠物質が蓄積された状態のことを言い、この睡眠負債が溜まった状態が続くと脳の働きが低下します。睡眠が不足すると、その日の不足分がなくなることはなく、翌日に持ち越されるというように、日ごとに次々に不足が加算されていきます。(利息は付かないので安心してください笑。)睡眠負債が蓄積すると脳は眠るよう強い指令を出し、仕事中や通勤中に居眠りをすることで脳は負債を減らそうとします。その結果、仕事や勉強に集中できない、ミスをしてしまう、思わぬ事故を起こすなどの問題が発生することもあります。

睡眠負債の例》

8時間睡眠が必要な人が、3時間しか睡眠をとらなかった場合、1日で5時間の不足ができてしまいます。これを解消するには翌日13時間の睡眠をとらないと不足は解消されません。しかし、13時間の睡眠をとるのは難しいのが現状です。

 睡眠は貯金できない?

睡眠負債は、休日に長めの睡眠をとる、仮眠をとるなどで解消されますが、もともとの睡眠リズムを崩さない程度の睡眠時間にすることが大切です。また、あまり睡眠をとれないと分かっている日がある場合、その前に少しの時間でも仮眠をとることで眠気が和らいだり、疲労感が軽減されると言われています。しかし、先に5時間睡眠をとったのでその分寝なくても大丈夫!というような「寝だめ」をして、睡眠の貯金を作ることはできません。

 

眠くなるしくみ

私たちが眠くなる仕組みは、睡眠負債の解消の為だけではありません。そのしくみは大きく2つに分けられます。

 

①恒常性維持機構(ホメオスタシス

日中長い間起きているとだんだんと眠くなります。スポーツや頭を使う作業をした日には、脳や体の疲れを回復させるために睡眠が必要になり、眠くなります。人には、体の状態を一定に保つ恒常性維持機構があるからです。活動していた時間の長さや睡眠不足の度合いによって、睡眠の長さや質が変化します。例えば、徹夜した次の日の夜には、よく眠れるというのも、この恒常性維持機構があるからです。

 

「疲れたから眠る」⇒恒常性維持機構(ホメオスタシス

 

②生体時計機構

生体時計機構とは、十分に睡眠をとった次の日であっても、またその日の体調、疲労感に関係なく、「夜になると眠くなる」という体内時計によるものです。人の体内時計は24時間より若干長いと言われています。このため、24時間と少しずつズレが生じてくるため、朝の光や刺激、規則的な生活などで修正し24時間周期に合わせることが必要です。

「夜になると眠くなる」 ⇒ 生体時計機構

 

みんな持ってる体内時計

体内時計は睡眠と覚醒だけでなく、血圧、深部体温、ホルモンの分泌のタイミング、内臓の活動など生理活動もコントロールしています。この体内時計のリズムは、体内のほぼ全ての細胞に存在していてお互いに連携し、調整していると言われています。

 

「親時計」&「子時計」

体内時計には「親時計」と「子時計」があります。

 

子時計・・・体内のほぼすべての細胞に時計遺伝子が存在し、それぞれの細胞ごとに時計を持ちながら働いている。子時計の刻むリズムは、日々の生活で少しずつズレが生じることがある。

 

親時計・・・ほぼ1日のリズムである体内時計を刻んで動いている。子時計がバラバラに働くことがないよう、全身の各細胞や各器官に向けて指令を出す。神経細胞の集まりであり、間脳の視床下部にある視交叉上核にある。

 

私たちの体内時計は24~25時間と言われていましたが、実際には現代の不規則な生活習慣や人工照明の影響などにより、生体リズムは崩れ、体内時計の個人差が現れ、23時間周期の人や26時間周期になっている人もいると考えられています体内時計の周期を地球の自転と同じの24時間周期に合わせるには毎日の修正が必要です

 

朝の光を浴びて、規則正しい生活で体内時計を調整しましょう!

 

次回は「昼寝は人生を変える!」です。

閲覧ありがとうございました。

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