睡眠中の私たち
睡眠中の私たち
私たちは睡眠中、ただ眠っているわけではありません。
今回は寝ている間に私たちのからだはどう変化しているのか?見ていきたいと思います。
レム睡眠とノンレム睡眠
この言葉はほとんどの方が聞いたことのある言葉だと思います。私たちは寝ている間、浅い眠りと、深い眠りを繰り返しています。その二つの睡眠を「レム睡眠」「ノンレム睡眠」と呼んでいます。
・レム睡眠
爬虫類や魚類などの原始的な眠りで「古い型の眠り」と言われている。エネルギーを温存するために体を休ませているが、脳は活発に働いていて、眠りの浅い状態。レム睡眠中は目がピクピク動くRapid Eye Movement(急速眼球運動)があることからREM(レム)睡眠と呼ばれている。
・ノンレム睡眠
哺乳類や鳥類などの大脳や筋肉、交感神経の発達した動物の脳を休息するためにできた深い眠りで「新しい型の睡眠」と言われている。大脳が発達した動物は体だけでなく脳の疲労回復も必要なため、重要な睡眠とされている。特に人間は他の動物に比べ、大脳が発達したためノンレム睡眠を多く必要としていると考えられている。REM(急速眼球活動)のない睡眠なので、ノンレム睡眠と呼ばれている。
レム睡眠中に何が起こっている?
レム睡眠は主に体を休める睡眠であり、脳は活発に働いていて、記憶の整理や定着、不要な情報を判断し消去、また、ストレスを和らげるなどの心身の健康を維持する働きがある。寝言を言うのも、レム睡眠時に多いと言われていて、寝言に対し相槌や反応したりするのは良くないと言われているのは、寝言を言いながら記憶を整理しようとしているときに、余計な情報を与えてしまうと混乱が起きやすく、また意識がだんだんはっきりし、起きてしまうなど、記憶の整理の妨げ、ストレスの蓄積の原因になると考えられているからである。
ノンレム睡眠中に何が起こっている?
ノンレム睡眠は、脳と体がリラックスし、大脳を休ませるための睡眠。脳は自分で脳内のメンテナンスを行い、大脳に蓄積された睡眠物質を除去し、回復をする。これは体だけでなく、脳の疲労回復でもある。副交感神経が優位になるため、血圧や心拍数も低下する。
繰り返されるレム&ノンレム
私たちの体は、眠りにつくとまず1~2時間程度深いノンレム睡眠に入り、ぐっすり眠ります。その後、眠りは浅くなりレム睡眠を経て再びノンレム睡眠に入ります。一晩のうちに3~5回レム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返します。目覚めが近づくにつれて、レム睡眠の時間が増えていき、目覚めの準備が始まります。
夢
睡眠、夢の研究は長い間されていますが、なぜ夢を見るのかは、まだはっきり解明されていません。 夢は記憶と深い関係があると言われています。夢は、レム睡眠時も、ノンレム睡眠時にも見ると言われていますが、それには大きな違いがあります。
・レム睡眠時の夢
レム睡眠時は大脳の活動が活発になっているので、脳波も覚醒時に近い状態。比較的はっきりとした夢を見る。内容がドラマ風であったり、ストーリー的な夢もこの時に見ている。レム睡眠中に目を覚ますと、夢の内容を説明できるほど覚えていることが多いとされている。
・ノンレム睡眠時の夢
はっきりしない夢、平凡な内容でほとんど覚えていないことが多いとされている。目が覚めた時に「なんとなく夢を見たような気がする」程度の感覚であり、夢を見たことは残っているが、どんな夢かを説明することはできないような脈略のない、淡く短いものが多いと言われている。
睡眠とホルモン
朝に目覚め、夜間になると眠くなるというリズムの形成には、ホルモンの働きが大きく関わっています。特に睡眠と関係が深いホルモンは「メラトニン」「コルチゾール」「成長ホルモン」の3つです。
【メラトニン】
メラトニンは脈拍、血圧、深部体温を下げて睡眠を誘発し、全身に「夜」を伝えるホルモン。メラトニンは脳の松果体から分泌され、目(網膜)から入る光の量により分泌量が変化する。朝、太陽の光が目に入ってから12~15時程度たたないと分泌されないという性質があり、外が明るい昼間にはほとんど分泌されず、太陽が沈む夕方から夜にかけて光の量が減っていくことにより徐々に分泌が増えてくる。夜になるとさらに増え、午前2時頃にピークに達する。メラトニンは、光を感知すると分泌量が減少するという特徴がある為、寝る前にパソコンやスマートフォンなどの強い光を浴びるとスムーズな眠りの妨げになる。
・メラトニンの作用
メラトニンの作用はまだ不明な点も多いが、睡眠の誘発のほか、活性酸素の除去、抗酸化作用により細胞の新陳代謝を活性化させる、疲労回復、抗がん作用、性腺機能抑制など、さまざまな働きがあると言われている。
・メラトニンの原料
メラトニンはセロトニンをもとに生成される。セロトニンは心身の安定を保つ働きがある。そのセロトニンの原料は、トリプトファンというアミノ酸。トリプトファンは体内でつくることができない必須アミノ酸であり、食事から摂取することが大切。メラトニンの分泌を維持するためには、トリプトファンを十分に摂取し、朝日を浴びて日中にセロトニンの生成を促し、夕方以降のメラトニン生成につなげていくことが大切。
《トリプトファンが多く含まれている食材》
納豆などの大豆製品、ヨーグルト、ナッツ類、バナナ など
原料 生成
《必須アミノ酸》 《脳内物質》 《睡眠ホルモン》
食べ物から摂取 朝日を浴びる 眠りを誘発
【コルチゾール】
コルチゾールは夜間に血糖値を維持するために分泌されるホルモン。睡眠中に体に蓄積されているブドウ糖や脂肪などの熱源をエネルギーとして活用するように分泌される。これによって、睡眠中の血糖値を一定に保ち、睡眠中も心臓や肺を動かしたり、身体の細胞を修復したりするためのエネルギーをつくっている。コルチゾールの分泌は、体内時計に支配されていて、睡眠中は分泌が抑えられ、午前2時頃から明け方にかけてどんどん分泌され、徐々に血圧や血糖値を上昇させ、交感神経を優位にし、体が活動しやすい状態にすることで覚醒を促す「朝」を伝えるホルモン。起床後30分~60分の間に大量に分泌され、昼にかけて減少していき、夕方には最も低くなる。
【成長ホルモン】
「寝る子は育つ!」と言われているとおり、成長ホルモンはこどもには「成長(発育)」を促す。大人の場合は「傷ついた細胞・組織の修復、疲労回復、ストレスの開放、老化の進行を抑制する」などの働きがある、。また、糖質、脂質、たんぱく質の代謝にも関係している。代謝を促進することにより、脂肪を減少させる作用もある。成長ホルモンは、眠り始めて3時間の間に分泌され、入眠1時間後に分泌のピークを迎える。成長ホルモンの分泌量は睡眠の深さによって変化し、睡眠の深さは、深部体温の低下度合いによって決まる。
【番外編】
女性必見!睡眠不足は太る!!
睡眠時間が短いと、「その分活動しているから痩せるのでは!」と思う方もいるかもしれませんが、逆です!睡眠時間が短いと太りやすくなります!そのメカニズムは、食欲に関する「レプチン」と「グレリン」というホルモンが関係しています。
「レプチン」・・・食欲を抑え、エネルギー消費、脂肪の燃焼を促すホルモン。
「グレリン」・・・食欲を増進するホルモン。
8時間の睡眠時間の人に比べ、5時間しか睡眠をとらなかった人は、食欲のホルモン「グレリン」の量が15%多く、食欲抑制のホルモン「レプチン」の量が15%低いということがスタンフォード大学で行った調査で分かったそうです。睡眠不足は判断能力も落ちるので、「気付いたら食べ過ぎてた!」なんてこともあるかもしれませんね!ダイエットを成功させたいならしっかり睡眠をとりましょう♪
次回は、「睡眠障害」です。
閲覧ありがとうございました。