ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドローム
「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」とは、骨や関節、筋肉、靭帯、腱などの運動器の衰えが原因で「立つ」「歩く」といった移動機能が低下した状態のことです。運動器は、立つ、歩く、座るなどの動作に欠かせません。運動器は互いに連帯して働いているため、どこかにトラブルが起こると、歩行や日常生活に支障が現れ、寝たきりや要介護になる危険性が高くなります。現代は車や、エレベーター、エスカレーターなど便利なものが増え、さらに新型コロナウィルスの影響により外出の機会が減ったことで、足腰を使う機会が少なくなっています。そのためロコモティブシンドロームは、お年寄りだけでなく、全世代の方々に注意が必要です。
《主な原因》
・加齢による運動器の機能低下
・肥満
・運動不足
・やせすぎ
・運動器疾患(骨粗しょう症、変形性関節症、脊柱管狭窄症など)による痛み
《チェックリスト》
①片足立ちで靴下がはけない
②家の中でつまずいたり、滑ったりする
③階段を上がるのに手すりが必要
④家のやや重い仕事(掃除機がけや布団の上げ下ろしなど)が困難
⑤15分くらい続けて歩くのが困難
⑥横断信号を青信号で渡りきることができない
⑦2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難
1つでも当てはまれば、運動器が衰えているサイン、ロコモティブシンドロームの恐れがあります。
サルコペニア
筋肉量は30歳台前後から徐々に減少傾向がみられ、加齢に伴い加速化していきます。この加齢に伴い、筋肉量や筋力が著しく低下した状態を「サルコペニア」と呼び、身体的な障害や寝たきりの原因になるだけでなく、肥満、高血圧、糖尿病などといった生活習慣病につながる危険性もあります。サルコペニアはロコモティブシンドロームの入り口とも言えます。
サルコペニア判断基準
・筋肉量の低下
・筋力の低下
・身体能力の低下
指輪っかテスト
両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太いところを輪で囲む。輪のほうがふくらはぎよりも大きければサルコペニアが疑われます。
サルコペニア肥満
筋肉が衰えると基礎代謝量が減り、消費するエネルギーが減少し、脂肪が蓄積しやすくなります。サルコペニアと肥満を併せ持つ状態を「サルコペニア肥満」といい、通常の肥満よりも高血圧、糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなります。運動機能が低下することで寝たきりになるリスクも高まります。サルコペニア肥満は、筋肉が減少し、脂肪が増えるため、体重や全体の体型が変わらない場合があるため、気付きにくく発見が遅れがちです。
《サルコペニア肥満の兆候》
・片足立ちで靴下が履けない
・走行速度が遅くなった
・瓶の蓋が開けにくくなった
・BMIが25以上
※BMI=体重÷身長÷身長
サルコペニアは、日頃の運動不足だけでなく、過度なダイエットによる食事制限による低栄養・栄養不足で筋肉が減少することも要因になります。栄養をバランス良く摂り、筋肉が衰え始める30歳代から積極的に筋力トレーニングを行い、筋肉の衰えを予防する事がその後の生活の質に大きく影響を与えます。
私たちの寿命は延び続けていますが、自立した生活を送れる「健康寿命」が平均寿命より男性は9年、女性は12年も短いことが分かっています。いつまでも元気で過ごすためにもロコモを予防し、「健康寿命」を伸ばすことが大切です。
次回は「骨と筋肉のアンチエイジング」です。
閲覧ありがとうございました。