アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
「アトピー性皮膚炎」とは、かゆみのある湿疹を主な病変とし、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚疾患のことです。子どものころに発症しても成人するまでに治る人が多いアトピー性皮膚炎ですが、近年、成人になってからの発症、再発する方が増えています。
症状
アトピー性皮膚炎の症状には、個人差がありますが「前額、眼囲、口囲、口唇、耳介周囲、頚部、四肢関節部、体幹」などに痒みや湿疹が左右対称に発症することが多い。湿疹の特徴は「赤み、じゅくじゅくとした皮膚の隆起、皮膚がむけて粉を吹いているなど」があり、症状が慢性化すると、皮膚が厚く硬くなったり、硬いしこりができてきます。乳児期あるいは幼児期に発症し、小児期に寛解、もしくは寛解することなく再発を繰り返し、成人になっても症状が持続する場合もあります。悪化の原因には、「汗、髪の毛の接触、衣類などの摩擦、掻破による刺激、外用薬、化粧品、金属、シャンプーやリンスなどによるかぶれ、ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛などの吸入、食物、ストレス」などがある。
痒みのメカニズム
かゆみが起きる詳しいメカニズムはまだはっきりわかっていませんが、ひとつには、皮膚に存在する「肥満細胞」と呼ばれる細胞から分泌される「ヒスタミン」がかゆみを引き起こす重要な役割であることが知られています。ヒスタミンは、かゆみを感じる「知覚神経」に作用します。ヒスタミンが神経に働くと脳で”かゆい”と感じます。そして”かゆいから掻く”といった行為は、知覚神経を刺激し、その結果さらにかゆみ物質であるヒスタミンの分泌を促してしまいます。そのため、どんどんかゆみが広がっていくという現象がみられると考えられています。
原因
アトピー性皮膚炎の原因は、大きく分けて2つあります。
【体質】
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遺伝
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アトピー素因
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皮膚のバリア機能の低下
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免疫システムの過剰反応
【環境】
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アレルゲン(食べ物、花粉、ハウスダスト、ダニなど)による刺激
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化学物質(シャンプーやリンス、化粧品、金属など)の刺激
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皮膚の乾燥
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不衛生な環境
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ストレスや不規則な生活
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腸内環境が良くない
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気候の変化
など
アトピー性皮膚炎は、「皮膚のバリア機能」(皮膚へのさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下しています。そのため、外から抗原や刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつくことで、アレルギー性の炎症を引き起こします。また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面にまで伸びてきて、かゆみを感じやすい状態となっており、かゆみから皮膚を掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
予防・対策
アトピー性皮膚炎の原因が何かわかっている場合は、できる限りそれらとの接触を避けることが大切です。また、状態が良くなっても再発してしまうことも多いため、予防を意識した生活習慣が大切です。
【環境】
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皮膚を刺激する素材の衣類、寝具は避ける。
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こまめに掃除をしてほこりやダニを増やさない。
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空気の入れ替えをする。
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睡眠をしっかりとる。
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ストレスをためない。
【スキンケア】
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刺激、洗浄力が強いものはなるべく使用しない。
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石鹸などは良く泡立てから優しく洗い、すすぎ残しのないようにする。
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入浴後、手洗い後などは皮膚が乾燥する前に保湿剤を塗る。
【食事】
自分にとってアレルゲンのものは避ける必要がありますが、食べ物で免疫のバランスを整えることも大切です。和食中心の食生活や、ビタミンやミネラルを積極的に摂取しましょう。
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油っこい食事、辛いものなどの刺激物、添加物、砂糖などはでなるべく控える。
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ヒスタミンを多く含む食品を食べ過ぎない
≪ヒスタミンを多く含む食品≫ アトピー性皮膚炎には良くない食品
チョコレート、コーヒー、山芋、サトイモ、ソーセージ、かまぼこ、魚の干物、ナッツ類、いちご、ポテトチップ類、生の貝類、マヨネーズ、ラーメン、白砂糖、肉の脂身
など
≪ビタミンB・C、核酸の多い食品≫ アトピー性皮膚炎に良い食品
納豆、ヨーグルト、味噌、レンコン、ねぎ、あさり、しじみ、わかめ、ひじき、大根、人参、豚肉赤身、レバー、皮をむく果物、缶詰のいわし・さんま、生成していない穀類、玄米、大豆、しめじ、しいたけ、かぼちゃ、卵黄、昆布など
次回は、「アトピー性皮膚炎にオススメ!レシピ」です。
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