貧血
貧血
「貧血」とは、血液中の赤血球の中に含まれる「ヘモグロビン」の量が不足した状態のことです。ヘモグロビンは、全身のすみずみまで酸素を運ぶ働きをしています。そのため、ヘモグロビンが不足すると十分な量の酸素を運ぶことができなくなり、体内の各所で酸欠状態になります。貧血は原因によりいくつかの種類があり、特に女性に多い貧血は、ヘモグロビンをつくる「鉄分」の不足によって起こる「鉄欠乏性貧血」です。
血液の働き
「血液成分」は、約55%が「血漿」で約45%が「血球(赤血球・白血球・リンパ球・血小板等)」です。
◆血漿(けっしょう)
血漿成分の約90%は水分で、残りの約7%はタンパク質や脂肪、糖、ミネラルなどの成分で構成されている。栄養素や老廃物を運んだり、血圧を保ったりする働きがある。
◆血球
- 「赤血球」・・・酸素を運ぶ働きがある。
- 「白血球」・・・外からの異物の進入を防ぐなどの免疫システム。
- 「血小板」・・・血管が傷ついたときに蓋をし、止血をする。
症状
・顔色不良
・動悸、息切れ
・めまい
・冷え、肩こり
・頭痛
・疲労、倦怠感
・呼吸困難
・胸痛
・爪が反り返る
原因
「鉄欠乏性貧血」の原因についてみていきましょう。
・鉄の摂取不足
過度なダイエットや偏食などにより栄養バランスが乱れると、血液をつくるために必要な栄養素であるたんぱく質や鉄、ビタミンB6、ビタミンB12や、鉄の吸収を助けるビタミンCが不足してしまいます。朝食を抜くなどの欠食や偏食などに気を付け栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
・鉄の吸収阻害
コーヒー、紅茶、緑茶に含まれるタンニンや加工食品、インスタント食品に含まれているリン酸塩は、鉄分の吸収を妨げるので、摂り過ぎに注意しましょう。
・鉄需要の増加
月経や分娩時には出血があり、また妊娠、授乳時には胎児の成長、母乳分泌のために多くの鉄が必要となります。
・激しい運動による「スポーツ性貧血」
激しい運動は、大量に汗をかくことで鉄を喪失してしまったり、強い衝撃で赤血球が破壊されたり、酸素を全身にいきわたらせるために鉄が大量に必要になるため、赤血球の不足を招きます。
予防・対策
貧血は、食生活の改善や生活習慣によって予防・対策が十分にできます。治療方法としては月経過多や、消化器の疾患などの病気の有無を確認し、病気があればまずその治療をします。そして食事で積極的に鉄分を補給するようにしましょう。それでも貧血が改善しない、鉄の欠乏がひどい場合には、鉄剤を使用します。
【食事】
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」と呼ばれる2種類があり、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」の方が、ひじきやほうれん草、プルーンなどに含まれる「非ヘム鉄」よりも圧倒的に吸収率が高いと言われています。
≪ヘム鉄と非ヘム鉄≫
鉄は小腸で吸収されます。ヘム鉄はもともとタンパク質にくるまれているので、吸収されやすい形になっていますが、非ヘム鉄の吸収率は非常に低く、また吸収されるときに活性酸素を出して粘膜を攻撃してしまいます。一緒に食べたものにも影響されやすいので、貧血対策のために鉄を摂る際にはヘム鉄を含む食品を積極的に摂りましょう。
≪鉄の吸収率アップ≫
鉄を摂るときは、たんぱく質やビタミンC、クエン酸、酢酸、CPP(カゼインホスホペプタイド)を一緒に摂ると吸収率が上がります。「CPP(カゼインホスホペプタイド)」は鉄だけでなくカルシウムなどのミネラルを溶けやすくして吸収を高める働きがあります。また、酸っぱいものや辛いもので胃を刺激することも効果的です。
・鉄の吸収率を上げる食べ合わせ
鉄を含む食品と、たんぱく質やビタミンCを一緒に取ることで、鉄の吸収率を上げることができます。また、ビタミンB12はヘモグロビンの合成に関与していて、多くの食品に含まれるているため、なかなか不足することはありませんが、主に動物性食品に含まれているため、ベジタリアンの方はビタミンB12の不足に注意が必要です。葉酸は、DNAの合成に不可欠な栄養素で、赤血球をつくる過程で葉酸が足りないと、核のDNAの合成に異常が起き、「悪性貧血」の原因となる異常な赤血球ができることがあります。レバーやブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれているので、積極的に摂りましょう。
※紅茶、コーヒー、緑茶に含まれるタンニンは、非ヘム鉄の吸収を妨げるといわれていますが、ヘム鉄の場合は気にしなくてよいという意見もあります。
運動
適度な運動は内臓機能を回復させて鉄分の吸収を高めます。赤血球の生産を活発にする作用もあるので、適度な運動を取り入れましょう。
次回は「貧血にオススメ!レシピ」です。
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