健康と美のための予防医学

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リンパとは

リンパとは

乳児は体重の約80%、幼児は約75%、小児は約70%、成人は約55~60%、高齢者は約50~55%。これは、私たちの体の中の水分の割合です。私たちの体の大部分が水分でできています。

 

体液とは

約60兆個に及ぶ多くの細胞から私たちの体は作られています。細胞の中にも、外にも大量の水分が存在して、細胞の内側にある水分を「細胞内液」、外側にある細胞を「細胞外液」と呼びます。体内の水分のうち「細胞内液」が約2/3、「細胞外液」が約1/3を占めています。「細胞外液」は体液とも呼ばれ、主に血液、リンパ、脳骨髄液、胸腔にある胸水、腹水、体内にある尿、眼には房水などがあります。

その中でも“体内の二つの川”と言われているのが“血液”と“リンパ液”です。

 

血液とリンパ

血液が流れる管は「血管」、リンパが流れる管は「リンパ管」といい、リンパ管は、血管と同じように全身に網目のように張り巡らされています。血管は心臓を起点として円を描くように体の中を循環していていますが、リンパ管は循環しておらず、常に一方通向です。

血管は、心臓からスタート(動脈)し、酸素と栄養素を体の隅々まで届け、二酸化炭素を含んで心臓へ戻ってきます(静脈)。それに対し、リンパ管の始まりは、皮膚の浅い部分にある「毛細リンパ管」という細かい管です。

 

動脈:心臓から血液を送り出し、体中の細胞に栄養素や酸素を運ぶ

静脈:体内の老廃物や二酸化炭素を集めて、再び心臓へ戻る

リンパ:静脈で運びきれなかった老廃物、病原菌、余分な水分を集めて静脈へ

 

リンパの体内での循環

リンパ管は静脈に寄り添う感じで全身に流れていますが、それは左右対称ではありません。体の右側と左側で経路が異なります。左側のリンパ管は両足先から始まり、足の付け根に向かって流れていきます。足の付け根のリンパ管は、その後も、徐々に集結し太くなっていき、腸からのリンパ管と、おへその奥あたりにある「乳び槽」で合流し、さらに太いリンパ管になります。そして左側のリンパの本管である胸管につながり、左鎖骨下にある左静脈に入ります。一方、右側のリンパ液は、右腕と右上半身、右頭部の末端から始まり、頸部リンパ節(首)や腋下リンパ節(脇の下)を通り、最終的には右リンパ本管という太いリンパ管になり、右鎖骨下にある右静脈に入ります。このように、右側のリンパ液の流れは、左に比べるととても狭い範囲となっています。

リンパは、ポンプの役割をしてくれるものがないため、とてもゆっくりと流れています。その上、毛細血管のように非常に細い管のため、周辺の筋肉が動くことでやっと中のリンパ液が動くことができます。そのため、運動不足で筋肉が動かされなかったり、乱れた食生活やストレスなどで老廃物が溜まってしまうと、すぐに流れが悪くなり、渋滞してしまいます。老廃物が体外に排出されない状態が続いてしまうと、むくみや肥満、セルライトなどの原因となってしまいます。

 

・右側・・・右上半身と、顔の右側は、最終的に右リンパ本管という太いリンパ管になり、右静脈角へ。

・左側・・・左右下半身と左上半身、顔の左側は、最終的に胸管という太いリンパ管になり左静脈角へ。

            ⇓静脈で血液と合流したリンパ液はどうなる?

  • 血流にのり肝臓へ運ばれ、肝臓でさらに解毒され、不要なものは腎臓から尿として排出
  • 水分、ブドウ糖アミノ酸など再利用できるものは血液に吸収され体内を循環

 

このようにリンパ液は血液と連帯し、私たちの体を循環しています。

 

リンパの役割

リンパには大きく分けて3つの役割があります。

 

①余分な水分、老廃物の回収「リンパ液」

静脈を通る血液とリンパ管を通る「リンパ液」は、「老廃物の回収と運搬」という同じ働きをしていますが、大きな違いは老廃物の大きさです。血管に回収しきれなかった大きな老廃物をリンパ管が回収します。体の中の脂肪、傷ついた細胞、がん細胞、ウィルスや細菌などの異物も集めて運搬します。このようにリンパ管は下水(老廃物を含んだリンパ液)を運ぶ「体の下水道」のような役割をしてくれています。

 

②老廃物のろ過「リンパ節」

リンパ液には、タンパク質、脂質などの栄養素や、乳酸、アンモニア、乳酸などの老廃物も含まれています。リンパ管のところどころには、リンパ液の老廃物をろ過してくれる「リンパ節」があります。数は体の部位によって様々で、全体に平均650個、特に胃や腸など消化器周辺に200個と多く分布しています。体の表面にもたくさん集まっていて、耳の前後、首筋、脇の下、鼠蹊部などに多く見られます。リンパ液はリンパ節を通過するたびに、リンパ節にあるフィルターで老廃物が取り除かれていきます。その後、きれいになったリンパ液は静脈に入り、キレな状態で心臓に戻っていきます

このように、リンパ節は不要な老廃物をろ過し、体内の体液をきれいにする重要な役割をしています。

 

 ③免疫の主役「リンパ球」

白血球の中には、「リンパ球」という細胞があり、これは免疫の主役です。

「リンパ球」は、②のリンパ節の中に、待機しており、リンパ液によって運ばれてきた細菌やウィルスはリンパ球によって分解処理され、死滅します。例えば、風邪をひいた時に顎の後ろや首のリンパ節の部分が腫れ、しこりのようなものを感じるのは、リンパ節の中でウィルスとリンパ球の戦いの真っ最中!ということが見たり触ったりできる形で現れたものです。

普段私たちが吸っている空気、口にしている食べ物には、無数のウィルスや細菌が含まれていますが、それでも簡単に私たちの体が負けないのは、「リンパ球」の防衛システムが備わっているからです。

 

どうやってリンパ管に老廃物は入ってくるの?

リンパ管は、皮膚直下の毛細リンパ管からスタートします。毛細リンパ管のスタート部分は「リンパ末端」と呼ばれて、木の根のような細かいコラーゲン繊維がついています。これを「繋留(けいりゅう)フィラメント」といいます。毛細リンパ管は、この繊維によって周囲の組織に固定されており、皮膚の上からの刺激によって、「繋留フィラメント」が引っ張られ、リンパ末端が開き、毛細血管が回収しきれなかった老廃物や余分な水分を毛細リンパが取り込んできます。

 

 

 このように、リンパは私たちが寝ている間も絶えず体の中を循環し、働いてくれています♪

 

次回は、「リンパと代謝」です。

 

閲覧ありがとうございました。

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