リンパと代謝
リンパと代謝
リンパの働きには、体に欠かすことのできない「代謝」というシステムにも深い関わりがあります。代謝が悪いと体内の水分の巡りも悪くなると言われています。太りやすい体にもなってしまうので注意が必要です。
リンパと基礎代謝
リンパと基礎代謝 (筋肉の役割)
「基礎代謝」とは、体を動かしていなくても、心臓を動かしたり、呼吸をしたり、体温を維持する、人間が生きていくための最低限必要なエネルギーのことです。基礎代謝は1日の総消費エネルギーの60~70%を占めています。基礎代謝によって血液の巡りが良くなると、栄養素が各細胞にスムーズに運ばれ、多くの臓器や組織が向上し、エネルギーが作られやすい体になります。さらに、酸素の合成も進み、循環機能の向上にもつながります。基礎代謝量は筋肉量が多い方が増えるため、基礎代謝を上げるには筋肉量を増やすことが大切です。また、筋肉はリンパ液を運搬する為のポンプの役目もしている為、筋肉が良く使われていると、基礎代謝だけでなく、リンパの循環も整ってきます。
リンパと新陳代謝
「新陳代謝」とは、体の古い細胞が新しい細胞へと次々と入れ替わる事を指します。例えば、膝を擦りむいた時、傷ついた皮膚の下に新しい皮膚が作られると、古い皮膚はかさぶたとなり剥げ落ち、新しい皮膚に替わります。これも新陳代謝です。細胞の生まれ変わり(新陳代謝)には栄養素と酸素が必要です。新陳代謝が活発になると、老廃物も多く作られますが、その体内の老廃物を回収し、体外に運び出しているのが静脈やリンパ管です。血液やリンパ液により老廃物がズムーズに排出されると、新陳代謝の働きも活発になり代謝が良くなります。
代謝が悪いと老廃物がたまる
古い細胞は、本来代謝により体外に排出されなければなりませんが、代謝が低下すると、リンパ液の流れが滞り、体内にどんどん蓄積されてしまいます。
体内に古い細胞が蓄積すると各組織は大きなダメージを受け、本来の機能が低下してしまいます。
代謝低下の要因
①運動不足による筋力低下
リンパ管は、周りの筋肉が動くことで刺激されリンパ液が押し出され、流れることができます。しかし、運動不足の状態になると筋肉を動かすことが少なくなるので、リンパの流れが停滞してしまいます。リンパ管自体がリンパ液を押し出す力は弱いので重力の影響を受けやすく、特に下半身は溜まりやすくなってしまいます。座りっぱなしや、立ちっぱなしなど、同じ姿勢が続くとむくむのはこのためです。また、筋肉を刺激しないと、熱も生まれないので、体温が低くなり、消費エネルギー量も少なくなります。体温が1℃下がると、基礎代謝量は15%下がると言われています。それと同時に血液とリンパの流れも悪くなってしまいます。
②ストレス (交感神経優位)
自律神経は代謝を動かす司令塔です。血管やリンパ管の壁には、自律神経の働きに左右される平滑筋があり、ストレスや興奮で交感神経が優位になると収縮し、リラックスすると副交感神経が優位になり拡張します。これにより、血管やリンパ管は収縮と拡張を繰り返します。しかし、ストレスなどで交感神経優位の状態が続くと、副交感神経への切り替えがうまくいかなくなり、指令が滞り、リンパ管の働きが低下し、代謝に悪影響を及ぼします
③暴飲暴食
自分の代謝能力を超えた食べ過ぎは、代謝機能を疲弊させ、鈍らせます。炭水化物を中心とした偏った食事により、代謝に必要な栄養素が十分に摂取されていないと代謝が悪くなってしまいます。
老廃物が溜まるとどうなる?
- 肥満
老廃物により、代謝に必要な栄養素も吸収しづらくなるので、太りやすい体質になる!
体に溜まった老廃物や水分に脂肪細胞がくっついて、特殊な脂肪「セルライト」に!
- むくみ
老廃物と一緒に排出されるはずの水分が体内で滞り、むくみに!
- 便秘
老廃物が腸に溜まると毒素を発生し、食欲不振、消化機能の低下に!
- 肌荒れ
老廃物の影響で便秘になると、ニキビ、吹き出物などの肌荒れに!
- 老化・免疫力低下
必要な栄養素が行きわたらないので細胞がどんどん衰えていく。
老化現象のほか、免疫力も低下!
むくみとは
「むくみ」は、細胞と細胞の間に「組織間液」という余分な水分が溜まった状態です。「組織間液」とは、細胞に栄養素や酸素を配ったり、細胞が活動してできた老廃物を運ぶ役割をしています。組織間液は、仕事が終わると静脈の壁を通り血管に戻り、戻り切れなかった水分はリンパ管を通り排出されるので、通常、組織間液の量が多くならなければ「むくみ」は発生しません。しかし、組織間液の量が増えたり、静脈やリンパ管が回収する組織間液の量が少ないと、組織間液が増加してしまい、むくんだ状態になります。リンパ液の流れが悪く、むくみが生じている時には、リンパ管の中にはたくさんの老廃物が溜まっているということです。
セルライトとは
「セルライト」とは、排泄されなかった老廃物や余分な水分が皮下脂肪(脂肪細胞)に付着してできた「かたまり」です。「脂肪細胞」は血管やリンパ管の近くに存在していて、正常な大きさであれば、血管やリンパ管の流れを邪魔することはないので、それらはスムーズに流れ、代謝活動も正常に行われます。しかし、運動不足、過剰なエネルギー摂取、冷えなどにより代謝が落ちると、脂肪細胞が肥大化し、血管、リンパ管を圧迫し、流れを妨げます。流れが妨げられると、老廃物を十分に排出できなくなるため、さらにセルライトの成長、増加にもつながります。
【番外編】
第2の心臓
「ふくらはぎ」は第2の心臓と呼ばれています。心臓から最も遠い足の血液は、重力に逆らって流れていかなければなりません。それにはふくらはぎの筋肉のポンプが必要です。心臓だけでは補いきれない、下半身の血流をふくらはぎの筋肉が助けてくれている為、ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれています。
しかし、そのふくらはぎには「重力などの影響で血流が悪くなると、冷えてしまう」という特徴があります。冷えると筋肉が固くなり、ポンプの役割が弱くなってしまいます。するとさらに血流が悪くなってしまいます。血液だけでなく、リンパの流れも悪くなるのでむくみにもつながります。ふくらはぎを触って、冷えているようであれば、足首を回したり、ふくらはぎをマッサージするなどして、常に血液とリンパの流れを良い状態にしておきましょう。
次回は「リンパと病気」です。
閲覧ありがとうございました。