骨折と骨粗しょう症
骨折と骨粗しょう症
20年前に比べると、子どもの骨折が1.5倍に増えているという報告があります。その原因は、栄養バランスの偏りや運動能力の低下による骨量の低下が挙げられています。骨が脆くなる骨粗しょう症は、女性の高齢者の病気と認識されがちですが、若いうちに骨量をどれだけ増やせるかで、そのリスクは大きく変わります。成長期の骨作りはその時だけでなく、将来の骨量を左右する大切な時期なのです。
子どもの骨折
骨量は、子どもの時から成人に向けて少しづつ増えるのではなく、成長期に急激に体積が増えます。通常は、骨の土台となる軟骨にカルシウムやミネラルなどがくっつく「石灰化」がおこり、強い骨となるのですが、この時期は石灰化が追い付かず、一時的に骨密度が低下してしまい、こどもの骨折の原因となってしまうことがあります。大人の骨に比べ、子どもの骨はカルシウム量は少ないですが、コラーゲンや水分が多く粘り気がある柔らかい性質のため、幼児期から15歳くらいまでの成長期の骨折は、ポキンと折れるのではなく、グニャと曲がったような骨折が多いのも特徴です。また、子どもの骨は自然治癒力が高いので、いつの間にか治っているということもあります。
骨折の予防
①栄養バランスの良い食事
偏食、ダイエットにより低栄養、摂食障害などは、カルシウムやカルシウムを吸収するためのビタミンDが不足し、骨をしっかり形成することができず、骨が弱くなる原因となります。丈夫な骨格作りにはバランスの良い食事が大切です。
②日光浴
日光を浴びると皮膚でビタミンDが生成され、腸でのカルシウム吸収を促します。太陽に当たる時間が短いとカルシウムがうまく吸収されなくなり、骨が脆くなってしまうので、日が出ている時間に1日30分程度は外に出るのがオススメです。
③適度な運動
適度な運動で骨を圧迫すると、その刺激によりカルシウムが骨に沈着し太く強くなります。運動は筋力を強化する効果もあるため、骨を支え、転倒を予防するというメリットもあります。骨密度を高めるためには、特に縄跳びが効果的です。
【骨粗しょう症】
「骨粗しょう症」は、骨量が減り、骨が脆くなって骨折をしやすくなった状態です。骨は常に骨代謝を繰り返し、新しく生まれ変わっています。骨を破壊する骨吸収と、骨を再生する骨形成のバランスが崩れると、骨量が減ってしまい骨粗しょう症となってしまいます。また加齢に伴い、腸から栄養素(カルシウム)を吸収する力が衰えることもあり、骨量が減っていきます。
症状
骨が脆くなると脊椎が潰れ、背中が丸くなる、背が低くなる、背中や腰が痛くなるなどの症状が現れます。骨粗しょう症は、骨の内側にある海綿骨がスカスカになってしまうため、特に海綿骨の割合の多い肩や手首、足の付け根や腰骨に骨折を起こしやすくなります。つまづいて転んだり、重いものを持った時やくしゃみをしたりなど、軽い日常の動作でも衝撃となり骨折をしてしまいます。
原因
年齢を重ねると誰でもなる可能性はありますが、生活習慣や病気により、骨粗しょう症になる時期が早まることもあります。
女性は骨代謝に関係する「エストロゲン」が閉経により激減するため、骨量が減ってしまい骨粗しょう症になりやすくなってしまいます。さらに女性は、妊娠、出産でも骨のカルシウムを大量に消費するため、男性よりも骨粗しょう症のリスクが高まります。
《生活習慣》
・偏食、無理なダイエットによるカルシウム不足
・運動不足
・日照不足
・アルコール、カフェインの摂り過ぎ
・喫煙
《病気の影響》
・卵巣や胃の切除
・消化器疾患、甲状腺疾患
・糖尿病
・慢性腎不全
・関節リウマチ
・ステロイド剤の長期服用
予防
骨粗しょう症の予防は、骨折の予防と同じく、バランスの良い食事、日光浴、適度な運動です。
昔に比べ、現代人は日光に当たる時間が少なくなっています。
日光をしっかり浴び、将来の自分のために強い骨を作っておきましょう。
次回は「骨強化におススメ!レシピ」です。
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