酸化による老化
酸化による老化
酸化と老化の関係について見ていきましょう!
酸化とは
「酸化」とは、例えばりんごを切ったあとそのままにしておくと空気に触れた部分が茶色く変化することや、錆びた金属などが身近な酸化反応です。しかし酸化反応とは、このような酸素による化学反応のみではありません。「原子」や「分子(原子の複合体)」がもつ「電子」が奪われる化学反応も全て「酸化反応」といわれています。私たちの体や身の回りにある物質を構成する最小単位は原子です。原子は原子核を中心に、その周りを2つの電子が回っています。しかし、何らかの要因で電子が1つ奪われると、その物質は酸化されたことになります。ペアを組めない1つのみの電子を持つ原子や分子を、科学用語で「フリーラジカル」といいます。電子が1つになってしまったフリーラジカルは、不安定で反応性が高いため、ほかの原子や分子とすぐに反応し、電子を奪い安定しようとします。電子を奪われ酸化された原子や分子は自分もフリーラジカルになり、他の分子を酸化させようとすることがあります。この酸化反応は次々に連鎖します。
ミトコンドリア
私たちの体の中でも「フリーラジカル」(酸化)は生み出されています。その代表が「活性酸素」です。活性酸素は、紫外線などの光により発生するものや呼吸により消費する酸素から生まれるものがあります。呼吸による活性酸素の発生源は、細胞内のエネルギー産生工場の「ミトコンドリア」です。
酸素は、体内に取り込まれたあと、全身の細胞へと運ばれ、エネルギー代謝を行うための材料として使われます。しかし、その中の約2%がエネルギー代謝の過程で異質な酸素へ変わってしまいます。この酸素は、電子の数が1つ半端で不安定な状態なので、電子の状態を安定させようと、正常な細胞から電子を奪おうとします。このように活性が高い酸素を「活性酸素」といいます。活性酸素から電子を奪われた細胞は正常な活動ができなくなり、死滅します。これが「老化」の原因になります。このように、ミトコンドリアから活性酸素は発生し、徐々にパワーを強化しつつ、細胞や血管、遺伝子を攻撃していきます。
活性酸素の種類
代表的な活性酸素は3つあります。これらの活性酸素は、エネルギー代謝の副産物として発生します。
①スーパーオキシドラジカル
酸素が電子を一つ受けとり、不安定な状態を「スーパーオキシドラジカル」といい、体内で最初に生成される活性酸素。 不対電子を持つ「フリーラジカル」だが、反応性は比較的低く、直接障害因子にはなりにくい。しかし、過酸化水素という強力な活性酸素の生成源につながる。
②過酸化水素
細胞内で発生したスーパーオキシドラジカルが電子を一つ受け取ると第二の活性酸素である「過酸化水素」へ変身。不対電子を持たないためフリーラジカルではない。しかし、過酸化水素は反応性の高い活性酸素である上、細胞膜を通過できるため、発生場所から離れた場所に到達し様々な物質に対し強力な酸化反応を起こす性質がある。また過酸化水素は、「オキシドール」とも呼ばれていて、消毒液に使われている。過酸化水素が入った消毒液が傷口に触れると白い泡が出るのは、過酸化水素が傷口の細菌を酸化し、殺菌している表れ。活性酸素は悪いイメージがあるが、このように活性酸素の酸化力を利用した良いものもある。
③ヒドロキシラジカル
過酸化水素が電子をさらに一つ受け取ると「ヒドロキシラジカル」という酸化力が最も強い活性酸素になる。人体にとって最も有害なフリーラジカルといわれ、生体内で発生すると脂質やタンパク質、DNAなどのさまざまな生体成分を攻撃し、やがて脳や臓器など全身の機能を低下させる。
次回は、「活性酸素」です。
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