老化速度を遅らせよう!
老化速度を遅らよう!
私たちの体は私たちが食べた日々の食べ物でできていますので、毎日の食事内容で老化速度を変えることもできます。
抗酸化作用で活性酸素撃退!
活性酸素による酸化にブレーキをかけるには、抗酸化作用の強い「ポリフェノール」や「カロテノイド」などが強い味方です。ポリフェノールの代表的なものは、ブルーベリーなどに含まれる「アントアシアニン」、茶葉の「カテキン」、ゴマの「セサミノール」、大豆の「イソフラボン」などです。カロテノイドの代表的なものは、カボチャやニンジンに含まれる「βカロテン」、緑黄色野菜の「ルテイン」、トマトの「リコピン」などがあります。
抗酸化作用の強いビタミンはまとめて「ビタミンACE(エース)」と呼ばれています。
《主な抗酸化成分》
【ポリフェノール】
・アントアシアニン・・・ぶどう、ブルーベリー、黒豆
・カテキン・・・緑茶、紅茶、カカオ
・セサミン・・・ごま
・イソフラボン・・・大豆
【カロテノイド】
・ルテイン・・・緑黄色野菜
・アスタキサンチン・・・鮭、いくら、桜エビ
・カプサンチン・・・赤ピーマン、唐辛子
【ビタミン】
・ビタミンA(体内でβカロテンへ)・・・緑黄色野菜
・ビタミンC・・・レモン、果物、イモ類
・ビタミンE・・・カボチャ、アボカド、種実類
抗糖化の食事
抗糖化においては、高血糖状態や血糖値の急上昇を避けることが大切です。
《食事方法》
①「野菜→タンパク質(おかず)→ごはん」の順番で食べる!
野菜に含まれている食物繊維により急激な血糖値の上昇を抑え、AGEが生まれにくくなる。
②朝食を摂る!
朝食を抜き昼食にたくさん食べると、血糖値が一気に急上昇する。血糖値の急激な上昇をコントロールするため、多量のインスリンが分泌され今度は血糖値は急降下する。このように血糖値が乱効果すると糖尿病になりやすくなる。
③しっかり咀嚼をし、ゆっくり食べる
よく噛むと食べ物の消化・吸収のスピードが緩やかになり、血糖値の上昇を抑える。「一口30回」を意識してゆっくり食べる。
《食べ物》
抗糖化作用のある食べ物で、糖質を摂取してもタンパク質と結びつきににくくしましょう。
①食物繊維
食物繊維の多い野菜や海藻、きのこなどは、糖質の吸収を穏やかにし、AGEの発生を抑える。
②高濃度茶カテキン類
カテキン類は、糖質とタンパク質の結合を防ぎ、血糖値上昇を抑える。しかし、高濃度な緑茶はカフェインが多いため寝付きが悪くなったり、人により肝機能障害が現れるという報告もあるため、体調や体質に合わせて取り入れることが大切。
③AGEの少ない料理
AGEは加熱により多くなるため、高温調理になるほどAGEは増えます。肉ならステーキよりもしゃぶしゃぶ、魚なら焼き魚より煮魚などAGEの少ない料理を取り入れる。しかし、AGE量が多い料理を食べてはいけない!ということではないので、頻度を調整することが大切。
《調理法とAGE含有量》
AGE含有量が少ない調理法順
生
⬇︎
煮る、蒸す、炊く
⬇︎
焼く、炒める
⬇︎
揚げる
次回は、「老化速度を遅らせよう!②」です。
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糖化による老化
糖化による老化
最近の研究では、老化には「酸化」だけでなく「糖化」との関係も注目されています。
糖化とは
「糖化」とは、タンパク質と糖質を加熱し褐色の物質ができる反応のことを言います。糖化は、魚や肉、パンなどを焼いた時の焦げ色や味噌などが呈する茶色など、食品中に起こる「メイラード反応」という化学反応として知られていました。これらの効果は、食品の香りや風味を良くし、保存性や栄養価を高めますが、加熱しすぎると味噌の品質の劣化につながるなど、主に食品学の分野で研究が進められていました。しかし、メイラード反応は、食品だけでなく人間の体の中でも起こり、メイラード反応によりできた「AGE(終末糖化産物)」という物質が体の老化の原因になってることが発見されました。
AGEが体内に蓄積
【AGEはどのように生まれるのか?】
まず、全身に分布しているタンパク質と糖質が結びつき、糖化したタンパク質ができます。この反応が進むと、「シッフ塩基」、「アマドリ化合物」へと変化します。両方ともタンパク質が糖化する初期段階でできる物質です。ここからさらにアマドリ化合物が体温で熱せられたり、高血糖状態にさらされると、AGEになります。AGEは最終産物なので、一度できたら元の物質に戻ることはありません。
【糖尿病の人はAGEが多い?】
AGEの量は、血糖の量と時間に比例します。そのため、血糖値が高いと体の中のタンパク質と糖質が結合しやすくなり、またその期間が長いほどAGEが作られやすくなり、老化が進みます。血糖値が高い状態が続いている「糖尿病」の指標に「ヘモグロビンA1c値」があり、これはヘモグロビンというタンパク質にブドウ糖が結合したもので、AGEができるまでのプロセスでいうと、アマドリ化合物の一種でAGEの前段階の物質です。
つまり、糖尿病の人は血糖値が高くヘモグロビンA1cが多いため、AGEができやすく、老化しやすい体であるといえます。
しかし、AGEは糖尿病の人にしか作られないわけではありません。ヘモグロビンA1cは健康な人であっても5%程度体内に存在しています。
長く生きているとその分AGEの量は多くなり、また、若い人でも高血糖であればAGEが作られるため、人により老化の進行のスピードに違いが出てきます。
【AGEの体への影響】
タンパク質の中でも、AGEの影響を受けやすいのが「コラーゲン」です。コラーゲンは、体内のタンパク質の約30%を占めていて、肌だけでなく、骨や血管、脳など体内のあらゆるところに存在しています。このコラーゲンにAGEが蓄積すると、肌の弾力性・柔軟性が失われるだけでく、血管の硬化からくる「動脈硬化」や、「心筋梗塞」、「脳梗塞」などの原因となったり、骨に蓄積すると「骨粗しょう症」、目の場合は「白内障」のリスクが高まり、脳の場合は「アルツハイマー病」になるという説もあります。
《コラーゲンとAGE》
コラーゲンは繊維状の層で、層の間は「生理的架橋」と呼ばれるものでつながっています。これがコラーゲンのハリや弾力を保つ支えとなっています。AGEは、この生理的架橋のようにコラーゲンを結びつけるように存在するため、AGEが増えるとコラーゲンのクッション機能がどんどん失われてしまいます。また、古くなったコラーゲンは、「コラゲナーゼ」という酵素によって分解され新しいコラーゲンに作りかえられるのですが、AGEにより古くなったコラーゲンはこの酵素による分解が起こらず、体内にどんどん蓄積されていきます。
AGE処理機能
私たちの体の中には、どんどん蓄積されるAGEを処理する仕組みが備わっています。それは、白血球の1つ「マクロファージ」によるもので、AGEを食べて処理してくれます。しかし、マクロファージは、AGEのみだけでなくコラーゲンも一緒に食べてしまいます。そのため、コラーゲンを修復する「TGF-β」という因子を放出するのですが、するとコラーゲンが過剰に作られ、密集しすぎることで硬化し弾力が失われ、逆にコラーゲンの機能を失いやすくなると言われています。また、血管のコラーゲンにAGEが蓄積すると、血管内にコレステロールがたまりやすくなり、たまったコレステロールを処理するためにマクロファージがきて食べますが、食べたコレステロールは粥状になり、「プラーク」としてかたまりを残します。プラークはやがて破れて血管壁が傷つくと、血小板が修復作業に入るため、血栓ができます。これが動脈硬化の始まりです。私たちの体にはAGE処理機能がありながら、AGEを完全に処理するのは難しいようです。
つまり、AGEによる老化を抑えるには、体の中にAGEを作らない!ということが最優先だといえます。
次回は、「老化速度を遅らせよう!」です。
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活性酸素
ヒドロキシラジカルの細胞への攻撃
細胞膜には、不飽和脂肪酸(脂質)が含まれていて、ヒドロキシラジカルなどにより酸化されると「過酸化脂質」と呼ばれる物質に変化します。過酸化脂質は、生体にとっては極めて有害な物質です。細胞膜は、細胞や小器官を仕切る壁としてや、生理活性物質として膜表面の受容体となっています。そのため、この細胞膜が過酸化脂質なると、核構造の破壊やそこで働く受容体などの機能もダメージを受け、あらゆる細胞の老化へとつながっていきます。さらに、ヒドロキシラジカルは細胞核の中にあるDNAを攻撃していきます。DNAは遺伝子の元になるものなので、ヒドロキシラジカルに攻撃を受けると突然変異の遺伝子を作り出してしまいます。この変異した細胞の一種ががん細胞です。ヒドロキシラジカルは、がん発生原因の1つとして考えられています。
活性酸素の増える原因
・ストレス
・紫外線
・タバコ
・食品添加物
・大気汚染
・激しい運動
など、様々な要因が引き金となり発生します。
【活性酸素と運動】
健康維持・管理のために運動をしている方も多いと思いますが、実は有酸素運動、無酸素運動どちらも多くのエネルギーが必要なため、活性酸素を発生させてしまいます。特に激しい無酸素運動は、発生量を増やすと言われています。しかし運動をある期間継続すると、体は「抗酸化酵素」を多く作り、「活性酸素除去能力」が高まります。ですが、運動不足であると、細胞内の活性酸素が発生しても抗酸化酵素が素早く対処できないため、日頃から運動の習慣をつけ、抗酸化酵素を作る細胞を適度に鍛えておくことが大切です。
【活性酸素とストレス】
私たちの体は免疫機能により細菌やウィルスなどの外敵やストレスなどから守られています。免疫を司る白血球の「好中球」や「マクロファージ」が働く際、細菌やウィルスなどを攻撃するための武器として活性酸素をつくります。この働きは、免疫機能を維持するために自然に起こる現象ですが、免疫細胞が生み出す活性酸素は周囲に飛び散るため、外敵だけでなく正常な細胞まで酸化させてしまいます。免疫が過剰に反応し、活性酸素が大量に産生されると、自己免疫疾患をはじめとする炎症反応が起きてしまいます。
抗酸化酵素 SOD
人間の体には、活性酸素を処理する機構が備えられています。その1つが「抗酸化酵素」で、これが多いほど、老化を抑えることができます。全身の細胞に配備されている抗酸化酵素の第一線で働くのは「スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)」と言う酵素です。SODは、スーパーオキシドラジカルを過酸化水素に変換します。過酸化水素も活性酸素ですが、細胞には過酸化水素に働きかける「カタラーゼ」と「グルタチオンペルオキシダーゼ」という酵素が備えられているため、活性酸素が細胞内で発生しても、その影響を最小限に抑えることができます。しかし、活性酸素が作られるスピードは除去するスピードよりも速いため、活性酸素はどうしても残ってしまうと言われています。この残った活性酸素が老化や様々な病気に関連しているのではないかと考えられています。また、このSODは年齢と共に働きが衰え、一般的に40代を過ぎるあたりから一気に低下していきます。そのため、加齢に伴い細胞内に発生した活性酸素を素早く処理できず活性酸素がどんどん増えやすくなっていきます。
次回は「糖化による老化」です。
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酸化による老化
酸化による老化
酸化と老化の関係について見ていきましょう!
酸化とは
「酸化」とは、例えばりんごを切ったあとそのままにしておくと空気に触れた部分が茶色く変化することや、錆びた金属などが身近な酸化反応です。しかし酸化反応とは、このような酸素による化学反応のみではありません。「原子」や「分子(原子の複合体)」がもつ「電子」が奪われる化学反応も全て「酸化反応」といわれています。私たちの体や身の回りにある物質を構成する最小単位は原子です。原子は原子核を中心に、その周りを2つの電子が回っています。しかし、何らかの要因で電子が1つ奪われると、その物質は酸化されたことになります。ペアを組めない1つのみの電子を持つ原子や分子を、科学用語で「フリーラジカル」といいます。電子が1つになってしまったフリーラジカルは、不安定で反応性が高いため、ほかの原子や分子とすぐに反応し、電子を奪い安定しようとします。電子を奪われ酸化された原子や分子は自分もフリーラジカルになり、他の分子を酸化させようとすることがあります。この酸化反応は次々に連鎖します。
ミトコンドリア
私たちの体の中でも「フリーラジカル」(酸化)は生み出されています。その代表が「活性酸素」です。活性酸素は、紫外線などの光により発生するものや呼吸により消費する酸素から生まれるものがあります。呼吸による活性酸素の発生源は、細胞内のエネルギー産生工場の「ミトコンドリア」です。
酸素は、体内に取り込まれたあと、全身の細胞へと運ばれ、エネルギー代謝を行うための材料として使われます。しかし、その中の約2%がエネルギー代謝の過程で異質な酸素へ変わってしまいます。この酸素は、電子の数が1つ半端で不安定な状態なので、電子の状態を安定させようと、正常な細胞から電子を奪おうとします。このように活性が高い酸素を「活性酸素」といいます。活性酸素から電子を奪われた細胞は正常な活動ができなくなり、死滅します。これが「老化」の原因になります。このように、ミトコンドリアから活性酸素は発生し、徐々にパワーを強化しつつ、細胞や血管、遺伝子を攻撃していきます。
活性酸素の種類
代表的な活性酸素は3つあります。これらの活性酸素は、エネルギー代謝の副産物として発生します。
①スーパーオキシドラジカル
酸素が電子を一つ受けとり、不安定な状態を「スーパーオキシドラジカル」といい、体内で最初に生成される活性酸素。 不対電子を持つ「フリーラジカル」だが、反応性は比較的低く、直接障害因子にはなりにくい。しかし、過酸化水素という強力な活性酸素の生成源につながる。
②過酸化水素
細胞内で発生したスーパーオキシドラジカルが電子を一つ受け取ると第二の活性酸素である「過酸化水素」へ変身。不対電子を持たないためフリーラジカルではない。しかし、過酸化水素は反応性の高い活性酸素である上、細胞膜を通過できるため、発生場所から離れた場所に到達し様々な物質に対し強力な酸化反応を起こす性質がある。また過酸化水素は、「オキシドール」とも呼ばれていて、消毒液に使われている。過酸化水素が入った消毒液が傷口に触れると白い泡が出るのは、過酸化水素が傷口の細菌を酸化し、殺菌している表れ。活性酸素は悪いイメージがあるが、このように活性酸素の酸化力を利用した良いものもある。
③ヒドロキシラジカル
過酸化水素が電子をさらに一つ受け取ると「ヒドロキシラジカル」という酸化力が最も強い活性酸素になる。人体にとって最も有害なフリーラジカルといわれ、生体内で発生すると脂質やタンパク質、DNAなどのさまざまな生体成分を攻撃し、やがて脳や臓器など全身の機能を低下させる。
次回は、「活性酸素」です。
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老化②
老化②
「老化」というと、あまり聞こえは良くないかもしれませんが、経験や精神力など老いることで得られることもあります。
流動性知能と結晶性知能
人間の知能は「流動性知能」と「結晶性知能」に大きく分けられます。
・流動性知能
体力や運動能力、運転など動作に現れる能力。暗記力や、計算力も含まれる。
加齢に伴い、徐々に低下する。
・結晶性知能
過去の経験が土台となる専門的かつ個人的能力。料理や趣味などの知識が含まれる。
ほとんどの場合、加齢のみでは低下しない。
しかし、2つを完全に切り離すことは難しく、2つの知能を活用できる事が理想的といえます。加齢により低下しやすい流動性知能も訓練により低下速度を抑える事が可能です。
老化学説
老化の仕組みに関する「老化学説」は、特定の細胞や器官の老化に特化して説明するものや、老化の現象の一部を捉えて説明しているものなど数多く存在し、それぞれ他の学説は重なり合う部分もあります。これは、老化は1つの要因のみで説明する事が難しく、色々な要因が影響していることを示しています。
テロメア説
私たちの体は、常に細胞分裂を繰り返していますが、その細胞分裂の回数には限りがあると言われています。それを決めるのが細胞核の中にある染色体の先端に伸びている「テロメア」と呼ばれる部分です。テロメアは、染色体を保護する役割をしており、細胞が分裂するたびに短くなります。細胞分裂を繰り返し、テロメアが短くなりすぎると、その細胞は分裂ができなくなります。
細胞分裂により若返ることは、細胞の機能維持には欠かせません。しかし年齢を重ね、細胞分裂の回数が減ったり、できなくなると、細胞の機能が低下し、老化を引き起こす。と考えられているのが「テロメア説」です。
【テロメア説の例外】
卵巣や、精巣の「生殖細胞」は、細胞分裂ごとにテロメアが短くなると、やがて不妊になってしまうため、短くなったテロメアを元の長さに戻す「テロメラーゼ」という酵素を細胞内に蓄えています。
遺伝子説
体の中には、寿命を決める「遺伝子」があるという説です。その根拠となる「早老症」と呼ばれる病気は、若い頃からシワや白髪などの老化が目立つようになります。他にも、高齢者に多い白内障や骨粗しょう症、動脈硬化などを早期に発症します。この早老症には「ウェルナー症候群」や「プロジェリア症候群」などがあります。
【ウェルナー症候群】
DNAの修復、複製に必要な「WRN」という遺伝子な異常により引き起こされると考えられている。50歳くらいで癌や脳卒中、心筋梗塞などになりやすく早く死亡すると言われている。
【プロジェリア症候群】
細胞核を囲っている角膜の構成成分であるタンパク質を作っている「ラミンA」という遺伝子の異常によるものと考えられている。ほとんどが10代で老化し死亡してしまう。細胞核の中身が影響を受け、細胞全体に異常が起こると推測されている。
以上の老化説は、遺伝子により老化が進むという説で、自分ではコントロールが難しいものです。自分の意思で老化速度をコントローする事ができる説を、次回ご紹介します!
次回は、「老化③」です。
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老化
老化
階段を登った時の息切れや、今まではっきり見えていた文字が見づらくなってしまった時、シワやたるみが気になりだした時など、人それぞれタイミングは違うかもしれませんが、「歳をとったなぁ…」と思うことがあると思います。老化の定義は、文字通り「老いていく変化」で、加齢により生体機能が低下することです。生理機能の低下の現象は20代〜30代から始まります。
老化の現象
アメリカの著名な老年学研究者であるストレーラーは、老化現象の原則として4つの原則を挙げています。
【4つの老化原則】
①普遍性・・・老化は、すべての生命体に等しく起こり、不可避である。
②内在性・・・老化は、遺伝的に生命体に内在する要因である。
③進行性・・・老化は、徐々に起こり、決して元には戻らない。
④有害性・・・老化は、生命に有害で機能低下をもたらすものである。
これらの特徴以外にも、生活習慣や環境要因などの複数の要因により老化のスピードに影響があると考えられています。
若く見える人&老けて見える人
同年同日に生まれた人は、同じ年月をかけ年齢を重ねていきます。年齢はだれもが同じ速さで平等に進みますが、いつまでも若々しい人と、老けて見えてしまう人の違いには、遺伝的要因や生活習慣、環境要因が複雑に関係しているためと考えられています。歳をとることは避けられませんが、老化の速度は健康的な生活習慣などで遅らせることができます。また、老化対策は早ければ早いほど若さ保つことにつながると言われています。
生体機能の変化
老化による生体機能の一般的な変化は4つに分けることができます。
①予備力の低下
予備力とは、日常で必要な能力と危機に直面した時に発揮される能力の差のこと。この差は老化とともにどんどん開いていく。
例えば、平地を歩いている時は平気なのに、坂道を登ると息が切れて立ち止まってしまう。など。
②防衛力の低下
病気に対する抵抗力が低下し、感染症や風邪にかかりやすくなる。
③回復力の低下
病気が治りにくくなったり、疲労が溜まりやすくなることで疲れやすくなる。
④適応力の低下
寒暖や明暗の変化への適応時間が遅くなる。
老化の不思議
・耳が聞こえにくくなるのはなぜ?
音は空気の振動で伝わる。振動は「鼓膜」を震わせ、それが「耳骨」を振動させ、骨の振動が「蝸牛内のリンパ液」を振動させて、それを「感覚細胞」が捉え脳に伝える。しかし、加齢で鼓膜が固くなり、感覚細胞がすり減ると聴力が落ちる。
・目が見えにくくなるのはなぜ?
老化により見えにくくなる現象はいくつかあるが、最も多いのは「老眼」。私たちの目は、はっきり見えるよう水晶体の厚さを自然に調節しているが、加齢により水晶体の厚さを調整する目の筋肉「毛様体筋」が衰えると近くのものが見えにくくなる。
・白髪になるのはなぜ?
白髪は、主に色素幹細胞の損傷により起こる。毛髪の色は色素幹細胞から生まれた「メラノサイト」という細胞でメラニン色素を合成すると黒くなる。この流れが滞ると白髪になる。
・髪の毛が薄くなるのはなぜ?
髪の毛は、「成長期」「退行期」「休止期」の三段階を2〜6年かけて繰り返している。この周期の成長期が短くなったり、休止期が長くなることで薄毛になると考えられている。
・シワができるのはなぜ?
肌のハリに大切なのが、皮膚の構成成分である「コラーゲン」やコラーゲンの束の間にある「エラスチン」というタンパク質。これらは紫外線によって破壊されてしまうため、長時間紫外線を浴びてきた部分は、皮膚のハリがなくなりシワになる。
・味付けが濃くなるのはなぜ?
味を感じる「味蕾」は、加齢に伴い数が減っていく。また、味蕾細胞の機能維持に欠かせない「亜鉛」が不足すると味覚が低下し、特に塩味を感じる能力が落ち、濃い味付けになる。
・トイレに何度も行きたくなるのはなぜ?
高齢者はレム睡眠の時間が長くなるため、すぐに目覚めやすく、尿が膀胱に溜まっているのに気づきやすくなる。また、運動量が減ることで汗の量が減りトイレが近くなる。他の筋肉と同じく膀胱の筋肉も衰えるため、尿を溜めておく力が弱くなり我慢できずに漏らしてしまうことを「尿失禁」という。
規則正しい生活習慣を心がけ、迫りくる老化に立ち向かっていきたいですね!!
次回は、「老化②」です。
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嗅覚障害
嗅覚障害
「嗅覚障害」とは、においを感じる経路のどこかに障害が起こり、においが分からないなど正常ににおいを感じることができなくなる状態のことです。視覚や聴覚に比べると、嗅覚の変化はあまり耳にしないかもしれませんが、実は65歳以上の方の約半数、80歳以上の方では約4分の3の方に嗅覚障害が生じているといわれています。嗅覚障害を自覚しづらいのは、脳にはにおいの記憶があり、減退した嗅覚を補っているからだと考えられています。
症状
「嗅覚機能の低下」が症状の大半ですが、他の症状が見られることもあります。
【嗅覚機能の低下】
・嗅覚減退
・嗅覚脱失(欠如)
【嗅覚過敏】
・軽い悪臭にも耐えられない
【嗅覚錯誤(異臭症)】
・本来いい匂いのものが悪臭に感じる
においを感知するしくみ
私たちが感じている「におい」は、「におい分子」という化学物質のことで、におい分子は鼻の奥の「嗅上皮」という部分にある「嗅細胞」の「嗅覚受容体」より感知されています。
受容体は300~400程度存在し、1つの匂いに対して複数の受容体が反応することで、数十万種類にもおよぶ匂いを嗅ぎ分けています。
においには良いにおいと、悪いにおいがあり、刺激臭や、腐敗臭のように有害な悪いにおいを嗅ぐと不快感を覚え、それを避けようとします。嗅覚は、火事やガス漏れなどの危険を察知し、安全を確保するためにも大切な感覚です。
原因
嗅覚障害は障害の出た部位により、「①呼吸性、②嗅粘膜性、呼吸性と嗅粘膜性が合わさった③混合性、④中枢性嗅覚障害」の4つに分けられます。
①呼吸性嗅覚障害
アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症などが原因。鼻腔内気流の異常のため、においを吸い込んでも、においを感じる部位まで到達しないことによる嗅覚障害。
②嗅粘膜性嗅覚障害
風邪やインフルエンザなどのウイルスにより、嗅粘膜に異常が起こることが原因。
③混合性嗅覚障害
呼吸性と嗅粘膜性が合わさった嗅覚障害。慢性副鼻腔炎や通年性アレルギー性鼻炎がこれにあたる。難治性の嗅覚障害に進行することが多くなるため注意が必要。
④中枢性嗅覚障害
脳挫傷を伴う頭部外傷などが主な原因。脳腫瘍や加齢が原因の場合もある。アルツハイマー病やパーキンソン病の初期症状で嗅覚障害がおこる場合もある。
予防・対策
嗅覚障害の予防で一番大切なのは、かぜをひかないようにすること。ひいてしまった場合は、こじらせないように注意することが大切です。
かぜは嗅粘膜に炎症を起こすこともあり、副鼻腔炎の原因にもなります。嗅覚障害は治療の開始が早いほど症状が回復しやすいと言われているので、かぜが治った後も鼻詰りや鼻水などが長引く場合は副鼻腔炎を起こしている可能性や、大きな病気が潜んでいる場合もありますので、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
・食事
かぜを予防するためには、日頃から不摂生や過労を避け免疫力を下げないようにし、十分な睡眠とバランスの良い食事を心がけましょう。その他、亜鉛やビタミンB12を積極的に摂ることもおススメです。
次回は、「老化」です。
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